身体とイメージ

フェルデンクライス・メソッドのATMは、気づきを使うレッスンとイメージを使うレッスンの2つで組み立てられています。
気づきを使うレッスンでは、既成の身体イメージをできる限り混ぜないようにして、現在の身体運動感覚に意識の焦点を合わすことによって、運動イメージの組み換えを行ないます。
そのうえで、今度は、身体を実際には動かさずに、脳内運動イメージだけで運動します。
つまり、イメージ排除のレッスンと、イメージ増強のレッスンが組み合させており、そこにフェルデンクライス・メソッド(ATM)の斬新なところがあります。
具体的に述べますと、まず身体の半身で気づきのレッスンをします。
それが、ある程度できたところで(つまり、その運動の気づかせたい意味、理解、運動イメージができあがったところで)、その同じ側(同じ側から始めるのがポイントです)で、今度は実際には身体を動かさず、脳内でその運動感覚を精密になぞります。(つまり、先ほどまで行なっていた動きを強烈に想像します)。
それが、ある程度できると、勝手に身体(筋肉系)がピクピク反応します。
さらにイメージ力が強くなると、動かすつもりが無いのに、身体が勝手に動きます。
それができたら今度は、実際に、身体を動かすはじめに戻るのですが、このとき、自分の気持としては、「これは、イメージレッスンであり、実際には身体は動いていないんだ、脳内運動なんだ」と自分の(脳を)騙します。
そして、再び、イメージだけの動きを行ないます。
これを切り替えしていると(このレッスンは、集中力がないと上手くいきません)、徐々に心と身体の繋がりが良くなって、思った時には身体が反応する、あるいは、思う前に(無意識・無自覚的な知覚に)身体が勝手に反応するようになります。
そうしたら今度は、その(たとえば横になって行うレッスンを)通勤中の電車の中とか(直立とか、椅子に座った姿勢)で、強烈にイメージします。
そうすると、 身体がピクピク、あるいはじんわりとうねり始めて、そのレッスンを行なったのと同じ身体の変化(効果・調整)が行なえるようになります。
これができることの価値は、「実際の運動では勝手に働いてしまう、要らない筋肉反応を起さないで、運動に必要な筋肉のみを反応させることができる「純粋運動」が行なえる点、また変化を出すのに掛かる必要時間が短い点を挙げられます。また、自働運動(活元運動)が起こり易い身体が作れると云うことがあります。
そして、ここからが、今回の記事の主題ですが、
このイメージレッスンを、「自分の経験したことのない、他人の動き」を自分の身体(運動)に取り込むことに使えます。
映画『MATRIX』のなかで主人公ネオが、仮想空間のなかで脳に直接、何種類かの武術の動きをインストールしますが(そこまで鮮やかに、は難しいですが)それと同じことが現実に行えるようになります。(ただし、この学習の効果・程度は、その人のイメージ力、集中力などの瞑想の基礎力の程度によって制限されます)
わかりやすいのは、ダンスをしている動画などを見る場合です。
ただ単に見るだけでなく、強烈な没入力を使って、そのダンスを見ます。
そのときに、視覚対象としてみるのではなく、内的に、そのダンサーの身体感覚を感じ取りながら見ると、さきほどのATMのイメージレッスンと同じことが起こります。
その運動パターンが、自分の脳内運動系にインストールされます。
(ただし、自分の身体制御系・ハードとしての身体反応レベルがそれに追いつかないと、実際にその通りに踊ることはできません。故に、実際に動いてのレッスンも必要ですが、学習のスピードはかなり速くなります)
次に、人間以外の動物の動きを見ます。
オススメなのは、『ATLANTIS』(魚類)、『WATARIDORI』(鳥類)などのDVD映像です。
人間の身体イメージ、運動イメージとは、かなり異なった(かけ離れた)ものを、自分の身体経験として取り込むことができます。
これも、ただ見るのではなく、身体を共振させて、運動イメージを反応させて見ることが必要となります。
禅的な言い方をするならば、真に(対象を)「見る」とは、それに「なる」ことであり、鳥を見るとき鳥になり、魚を見るとき魚になるだけの、対象への没入感、共振が必要となります。
しかし、それは私たちは皆、日常的に行なっています。
「ミラーニューロン」の存在が、このことの脳科学的な根拠となるでしょう。
内観が、なぜこれほど効果あるのかの根拠も、ミラーニューロンにあると思います。
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◆ 補足
・『WATARIDORI』は、このようなボディワーク的目的は別として、素晴らしい作品です。
映像、脚本も勿論ですが、なによりも感心したのは音楽(音響)でした。
曲と鳥の立てる声とのmix具合が素晴らしいです。なので、ヘッドフォンを使うのが良いかも知れません。総合的に、この作品の完成度には驚きました。フランスって凄いんだな、と感じました。
・『ATLANTIS』は、映像的には文句なしです。特に、イグアナ(みたいな生き物)と、ウミヘビの動きなどの、とても私たちには敵わないような体幹から末端への動きのつながりの凄まじさ、美しさには見惚れます。
ただ、音楽は主張が強すぎて好きになれません。
なので、私が音は消して、自分の好きな曲を聴きながら見たりします。
お気に入りは、EMIT ECAPS: スペース・タイム・コンティニュームの何曲か、あるいはsteve reichも合うと思います。
また、このDVDは、まったり系なので、仕事が終わって疲れを癒すのに、くつろいで見るに適しています。
・現在、アマゾンで、DVD3枚同時購入で1枚1000円(3枚3000円)と云うキャンペーンをやっています。
上記2枚はキャンペーン対応です。一つ前の記事の『フォレスト・ガンプ』もそうです。
これだけの作品を1000円で買えるとは、有り難いことです。
・『WATARIDORI』の監督は『ニューシネマ・パラダイス』の子役トトの、大人になった時の役をしていた方らしいです。こんなに素晴らしい先品を作る人とは思っていませんでしたので、それを知って驚きました。
WATARIDORI [DVD]: ジャック・ペラン
WATARIDORI コレクターズ・エディション [DVD]
(こちらにレビューが沢山挙げられています)
アトランティス ―デジタル・レストア・バージョン
アトランティス -デジタル・レストア・バージョン- Blu-ray
ミラーニューロン – Wikipedia
ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学
ミラーニューロン
脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ

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かなり雑な文章なので、落ち着いたら、また書き改めます。