科学にとって、いちばん貴重な物

科学にとっていちばん貴重なものは何か?
相対性理論、量子力学?いやいや、そんな一つ一つの理論をとやかくいうつもりはありません。
いちばん貴重な物は科学自身に「エラー修正機能」が組み込まれているということです。
そして似非科学と決定的に違っているのは、本当の科学のほうが、人間の不完全さや誤りやすさをずっと認識している点です。
むしろ「人間は間違うことを断固として認める」ぐらい積極的な機能をもっているのです。
ですから、誤りを含んだ科学と似非科学はまったく異質のものなのです。
人間というものは、絶対に確かだといえるものが欲しくてたまらないのかもしれない。
しかし、確信の誘惑を断ち切るのは難しい。
そもそも科学がいざなう先にあるのは、ありのままの世界で、こうあってほしいという願望ではない。
よく、科学は難しすぎる、複雑だと嫌われるが、科学が複雑で難しいのはたいていの場合、現実の世界が複雑だからだ。
それ故、今の時代に科学的思考は必然である。
なにも科学者になれというのではない。
科学的な考え方を広めることが大切なのだ。
例えそれが我々にとって、好ましくない結果(例えば、我々の祖先がサルであることを未だ拒否を示す人はゴマンといる)をもたらそうともだ。
「カール・セーガン 科学と悪霊を語る」より。