ヴィパッサナー&ボディワーク研修を終えて

* この体験記は、屋久島時代のものであり、現在(広島県 宮島)とは、設備・環境等に違いがあります

霊基による紹介と補足

この夏、三人目の長期研修者、Tさんの研修体験記です。
通常、こちらでの長期研修は、9日間の間、朝4時~夜10時(あるいは11時頃)まで、研修棟に閉じ篭り、休み無く継続して、気づき系の瞑想なり、内観なりに取り組むのですが、Tさんの場合、研修前の申し込み時に、二つの希望をお聞きしていました。

一つ目は、「とにかく、自然の中で寛ぎたい、癒されたい、ゆっくりして心身の感受性を取り戻したい」
二つ目は、「ボディワーク・身体意識系の研修をお願いしたい」
とのことでした。

屋久島に到着され、実際に顔を合わせた上で、どのような形態と内容で研修を進めていくかを話し合った結果、普段通りの、研修所の建物内での研修と、それを海や山、渓谷、浜など、自然の中で、その場所にあった形で、実践・実習すると云う二つのスタイルを組み合わせることに決まりました。

また、研修の内容も、ヴィパッサナー的なもの、内観的なもの、ボディワーク的なもの、その他― とにかくTさん本人の、その時その時の状態と希望とに耳を澄ませながら判断して、「何でもあり」で研修を進めていくことになりました。
これは、研修をリードする私自身にとっても初めても経験で、なかなかチャレンジングなことでした。

しかし、今こうして、感想文を読ませて頂いてみますと、Tさんにとっても、私にとっても、ちょうど良い、互いに良い学びのある充実した研修になっていたのだな、と感じています。

私は基本的に「長期研修の前後に、屋久島の自然を味わう日時を取っておくこと」を勧めることはあっても、研修期間中には、外出・観光的なことは一切せずに、とにかく9日間、朝から晩まで観‐行に専念するスタイルの方が内容的には充実した良いものになるだろう、とは今でも思っているのですが、今回のTさんとの研修を終えてみて、場合によっては(その方の状況・必然性・資質などによっては)、気づきの瞑想やボディワークなどの観‐行研修と、海や山、渓谷、滝など、屋久島の自然の中に身を置き、時を過ごし、その場所を場所を味わい、同時に、その中での自分を味わい、移動も含めて、その全てが気づきの継続の中で行われているような、修行と自然探訪を二つのものとして見ないで、上手く一つに溶け合わせた様な形態の長期研修も考えてみても良いかな、と感じています。ただし、これは修行(気づき)の基礎が既にある方向けのコ-スだと思います。

体験記 ~長期集中研修を終えて 2007.8

8月11日から9日間ほどの長期集中研修を受けました。

毎朝4時に起床。
身支度を済ませて車で移動し、春田浜海岸へ。そこで見る朝日は格別でした。
まだ星座が見えたり、虹が出たり、雲の形も変化があったり、どれ一つ(一日、一時として)同じ景色はありませんでした。

私向けの研修は、まずヴィパサナーを取り入れた気づき系の研修から始まりました。
食事をするときに箸や茶碗を手に取って、「(伸ばしたいと)思った」→「伸ばす」→「触れた」→「つかんだ」・・・「口に入れた」→「噛んでいる」など動作をラベリングしていくのです。
なかなか的確な言葉が出てこないことがありましたが、今やっていることに集中することは、自分の意識を冷静に受け止めることができ、意識が外に逸れても、それをラベリングすれば良いというのも好感が持て、とても興味深い体験でした。
また、食べ物を一口ずつ口に入れ、ゆっくり噛むことは顎の動きを通して脳の刺激になり、私の場合記憶力アップに繋がりました。
そして、何より食材の味わいが深く、おいしく頂くことができました。

研修が始まってすぐ(一日目~二日目)に断食に入り、洗腸を行いました。
断食直後には眠くて堪らなくなったのですが、眠くなりやすいと聞き、その日は早くからぐっすり眠りました。
その後、フルーツから始まって徐々に食事の量を戻していったのですが、驚くことに以前より格段に食事量が減りました。
残ったものを目にしていてもお腹が一杯で手が出ないのです。
「自分の判断で残して下さって結構ですよ。」と言って頂き、後半まで毎日残していました。
しかし、逆に頭が冴え、元気に過ごすことができたから不思議です。
作って下さった方をイメージして、毎日感謝しながら頂くことができました。

野外でのラベリングも体験しました。
森の中で歩きながら「触れた」「見た」「聞いた」とラベリングしていくのですが、最初は歩くだけで精一杯でした。
目的地の滝を見てからは見通しが持て、研修所で練習したことを思い出して歩きました。
靴底が少し厚かったにも関らず、「触れた」という感触を感じながら歩くことができ、行きよりも疲れずに戻ることができました。

後半からボディワーク系の研修もしました。
フェンデルクライス・メソッドなどの技法を取り入れた運動で身体感覚を探りました。
私の場合、肩と腰に慢性的な不調を抱えており、それに焦点を当てた運動をするのですが、なかなかうまく自然に動かすことができません。
動作の後のリラックス時には、仰向けに寝ると背中や腰などが浮き上がり、背面の多くの部分が床に触れることがありませんでした。

しかし、最終日に顎の動きを中心としたレッスンをしたところ、どういう訳か体の背面がぴったりと床に付き、全身が楽になっているのを感じました。
気管が開き、楽に息をすることができました。

その後、場所を変えて浜辺で声と動きのワークをしました。
最終日だということもあり、余計なことを考えずに精一杯行いました。
すると、驚いたことに自発的な(自働運動的な)動きが少しあり、終わってみると何とも言えない開放感と適度な脱力感がありました。

フォーカシング的な切り口での誘導もして頂きましたが、改めて体と心は繋がっているのだということが分かり、体の不調は、自分で作り出した精神的なものから来ていたことに気がつきました。
まるで、孫悟空の頭のわっかが取れたような爽快感がありました。

場所が屋久島だったことも大きな恵みでした。
海・山・森・川・滝など、大自然の中に身を置き、気づかされることが多くありました。
どこに行っても美しく、最高の自然のBGMと吹く風に癒される日々でした。
自然を利用して、私向けのメニューを考えて頂いたことが、より良い結果を生んだのだと思っています。

帰り道、屋久島から乗った飛行機のタラップを降りるとき、口角が上がっているのに気がつきました。
とても自然な微笑みでした。

教えて頂いたことを糧に、日々の活力にしていきたいと思います。