気づきの瞑想コース8日間

* この体験記は、屋久島時代のものであり、現在(広島県 宮島)とは、設備・環境等に違いがあります


30代前半、男性です。
この度、ヴィパッサナー瞑想を中心とする研修を行いました。
本来10日間あるコースですが、休みの都合上8日間しか時間が取れず、短縮してもらいました。
初日と最終日は観光もありましたので、修行は正味6日間です。

ヴィパッサナー瞑想については、一般向けの本を読み(ざっとですが)、他の機関で数日間の指導を受けたことがあったので、知識として大まかには知っていました。
しかし、それらの知識が、実感を伴った理解となっている訳ではありませんでした。

個人的な問題として、10代の後半より「生きることの無意味さ」や「空虚さ」「生き辛さ」を感じていることが多かったように思います。
そんなこともあってか、心理学を勉強したり文学にはまったこともありましたが、いくら知識を詰め込んでも実感として何も変わりませでした。
20代の半ばより、それらについて考える事を止めていました。
そんな中、偶然「ヴィパッサナー瞑想」を知り、再び興味が惹かれました。

研修は、着いた初日に島内観光があり、修行は2日目より開始されました。
洗腸・断食より始まり、続いて常に「今」という気づきを絶やさないために、「歩行中の足の裏の感覚をひたすら感じ続ける」、「おなかの膨らみ縮みに注意を向ける」といった身体感覚に注意を向ける瞑想へと進んでいきました。

食事中もスプーンを動かす動作から、咀嚼、嚥下の動作まで、全ての身体動作に注意を向け続けました。
また、周囲の音や考えごとに注意がそれてしまった場合、その度ごとに心の中で「音、考えた」「思考、イメージ」などと唱え、確認を行っていきます。
単純に言ってしまうと、ただ注意を向け続けるだけですが、これがかなり難しく辛いことだということがすぐに分かりました。
正直、修行開始2日目はめげそうになりました。
どうやってここから帰ろうかと、そんなことばかり考えていました。
突然「フライドチキン」などの食べ物の映像が頭をよぎり、そこから宴会の風景を妄想していることも良くありました。
そんな時、個人面談があり、霊基さんに励まされ、なんとか続けることができました。
後で聞いた話ですが、大体皆同じような経過をたどるそうです。

修行開始3日目から食事が再開し、4日目くらいから慣れてきました。
そのころから感覚が鋭敏になってきているのが自分でも分かりました。

5日目、最も調子の良いときに指先から腕にかけて脈動がかなり鋭敏に感じられるようになりました。
心臓の鼓動にあわせて、ものすごい存在感で拍動しているのです。まさに驚きです。
この感覚を再現しようと追い求めたばかりに、その後、ややスランプに陥るのですが、6日目になんとか指導のもと、我に帰りました。
そして、そのとき実感として、身体感覚に注意を向けること・「気づき」が、心の問題の解決にどのように関係するかが実感を伴って分かってきたのです。
これまでの自分は、心の問題が、どこから・いつ・どのように生起しているのか認識することができませんでした。
しかし、常に「気づき」を持つ力の開発により、「体の緊張」や「思考の連鎖のパターン」を見つけることができてきました。
その認識により、うまくは説明できないのですが、認識自体が、すでに解決の入り口に入っていることに実感として気づいてきました。
この実感は実際に体験してみないと、いくら知識を得ても分からないと思うのですが、私にとって実に納得のいくものでした。修業体験あっての実感です。

ここまで書いてきて、ふと、この解釈で本当に正しいのか不安な気持ちが頭をもたげてきました。
修行7日目があったとしたら、さらに別のことも気づいたと思いますので。

その他、上記の瞑想と平行して「慈悲の瞑想」も行いました。
簡単に言ってしまうと、他人への感謝といった感情を強引に脳内にインプットするということでしょうか?
これもヴィパッサナー瞑想に負けず劣らず重要なそうです。
今後、これについても、さらに勉強、体験していきたいです。

屋久島での研修は非常に合理的で、霊基さんが様々な分野に精通しているということが大きいと思うのですが、個々人の興味や背景に合わせて、また進行状況に合わせて柔軟に進行方法を組み合わせてくれます。
これが他の機関での瞑想研修と最も違うところではないでしょうか。
研修の進め方には大変満足しております。

その他、なんといっても研修中の苦境を救ってくれたのは、温かいお茶に、本当においしい食事でした。
こまごまとした身の回りのお世話も有り難かったです。

今後も修行は続けていきたいと思います。
また、今度は観光でも屋久島を訪れたいです。
あえて書きませんでしたが、屋久島の自然の魅力は素晴らしいものがあります。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。