まず参加を思い立ったのは、自分は瞑想の合宿やリトリートなどの参加経験もなく、ヴィパッサナーなどの本を数冊読んで独学で座禅や歩行瞑想などをやっていましたが、まるで進歩を感じられないので、個人指導で研修をされている霊基さんの所に興味を惹かれ、参加しようと思いました。
まず、屋久島到着日
島内一周して滝を見たり、温泉に入ったりで瞑想指導は無し。
研修開始1日目
起床時にカーテンを雑にザッとあけた瞬間、隣の部屋から霊基さんに「今、ラベリングは何て入れてました?」と聞かれ、正直びびる。
その後も「今、ラベリングは?」と何度も言われ、かなり焦る。
また霊基さんに「何分ラベリングが続いて、どういう理由で何分切れたかレポートして」と言われ、曖昧な返答を繰り返すと、色々つっこまれて反射的にまた適当な事を答えていた。
今考えると、完全に雑念、妄想だらけで、ほとんどラベリングは入って入なかったが、それを恥ずかしく思い適当に嘘を答えていた。
霊基さんには、「質問に対してずれた返答をしている、人の話をあまり聞いていない」等の指摘を受け、その後もこの類のやり取りが繰り返しあり、自分でも今まで気づかなかった事だが、人の話を分かっているつもりが全然正確に内容を理解していない事が多々あるらしい。
この事は初めて指摘を受けたのでショックを受ける。
2日目
初日と、ほぼ同じような状況で、霊基さんに心構えについて、禅宗の話や死ぬ気でやらなきゃできない等の檄を飛ばされ、自分の甘さが情けなく打ちひしがれる。
特に夜、霊基さんが禅の修行の話の中で自分の頭を思いっきり殴り、「雑念が消えない時は、皆これ位やってますよ」と言われ、自分が殴られたような衝撃をうける。
やる気を出しラベリングを入れようとするが、できない自分に対する怒りや情けなさの妄想で集中できず。
正直、帰りたいと思っていた。
この頃は、ほとんど霊基さん恐怖症だった。
3~4日目
少しずつ前よりはラベリングが入るようになり(正確に実感を感じている時はほとんどないが)、霊基さんには「いい感じじゃないですか」「その調子で」など励まされるようなアドバイスを頂いて、やるしかないと思っていた。
【今の瞬間に気づきラベリング】
【雑念カット】
【感覚の倍率(精度)を上げる】
と言い聞かせるが、中々うまくはいかない。
5日目
午前中は今までと同じような状況だったが、夜にやった食事瞑想時に、わりと集中力が高まる。
ラベリングも調子良くできて、パンと紅茶を驚くほど旨く感じた。
体調は今までで一番いい。
その後、歯磨きのラベリングをやってから、歩行瞑想に入ると、今までになく集中できる。
雑念はほぼカットできて、足裏の感覚に初めてとどまれた。
その時、初めて瞑想を楽しいと感じる。
大体1時間でスタミナが切れて、その状態は終わる。
その後は座禅などもするが、中心対象である手の指先の脈動感の感じは、まだあまり取れないのでうまくいかず。
その日の夜は、夕食後よりは弱いが、歩行瞑想は割と集中できた。
6日目
霊基さんに「一応、今日の夜9時で区切りをつけましょう」と言われる。
その後、朝から歩行瞑想を何とか前日より精度を上げて頑張りたいと望んだが、最後までに成果をあげたい焦りもあり、あまり集中できず。
その後、食事瞑想時に霊基さんが部屋に入ってきた時、自分を見て「ラベリングは?」と言われ入ってない事を指摘され、「霊基さんが気になって切れてしまった」と答えると「それくらいじゃ、皆、ラベリング抜けませんよ」と言われ落ち込む。
昼過ぎになっても集中力が高まらないので、霊基さんに風呂に行ってリセットして、その後9時まで最後全力で集中するよう進められる。
夕方6時ぐらいに帰ってきて、歩行瞑想を始めるが、風呂の準備をする時に「今はラベリングやめてもいいし、大雑把に入ればいい」と霊基さんに言われ、一旦自分の中でラベリングモードを切ってしまったので中々持ち直さず。
気合だけはあるが7時過ぎまで実感とラベリングが全くかみ合わない、錯乱状態。
8時ぐらいから多少持ち直すが、風呂前とほぼ同じ集中で9時になり研修終了。
最終日
研修中は雨ばかりでしたが、久しぶりに晴れたので(「神に感謝」とか考えたら妄想だなという妄想もしましたが)ヤクスギランドに山歩きに連れて行っていただく。
今まで研修中はほぼ室内にいて、感覚に集中する為にコンタクトも外し視界をOFFにしていたのもあり、自然を新鮮に満喫できて楽しかったです。
帰りの飛行機までまだ時間があったので、人のいない海岸の断崖の岩場に行き、大の字に寝て、海と空を見ながらくつろいだのは大満足でした。
研修を終えて
研修参加前は、一週間ぐらいリトリートに参加すれば、よく体験談などにある、「集中力が高まり、対象を一瞬一瞬とらえた」とか、至福体験、神秘体験的なものが自分にもできるんじゃないか、などという欲も微かにありましたが、結果的には自分の瞑想に対するセンスのなさ、力のなさを嫌というほど知らされることとなりました。
霊基さんに「この前の女性の研修者の方は食事瞑想4時間くらいかけてましたよ」等の話をされ、自分は1時間ちょっとしか食事瞑想をできてなかったので情けなかったし悔しかったです。
研修中に霊基さんに頂いた無数のアドバイスが最大の収穫でした。
これからの課題や日常生活での気づきの大切さ、色々なやり方、テクニック等、本を100冊読んでも分からなかっただろう事を直接、指導いただき感謝します。
研修後の生活は、まだ研修の緊張感があるからかもしれませんが、静かな変化として、頭が冴えた感じや、前より落ち着いて行動する(簡単なラベリングを入れて)ようになったり、人に対して優しい気持ちで見れたり、といった所でしょうか。
しかし、正直なところ、相変わらず雑念、妄想、怠け、欲望でしちゃらけた生活です。
何故か、以前と違う虚しさや不安感を感じるような時もあります。
研修から帰る空港の待合室で久しぶりにipodで音楽を聴いた時、聴き慣れた音楽が鮮明に感じ、涙が潤むほど感動したのですが、それが瞑想の効果なのか、一週間世俗からの情報を断っていたからだけなのかは分かりません。
ただ、日常生活で、できるだけ実感に気づいてラベリングしようという気持ちは続いています。
最後に体調の変化として、食事を“よく噛んで食べる”これだけで便秘は解消する事が分かりました。
霊基さんについて
・厳しく、やさしく、頼もしい人でした。
・1つ質問すると10答えてくれる、めちゃくちゃ頭がいい。
しかし、まだまだ自分の中に質問する言葉や経験を持っていない事は残念でした。
・すべての動きが滑らか、特に車の運転のうまさに驚き。
・豊富な修行経験からくる話が面白かったです。
瞑想ができるようになると、人生得する。
理解力が高まる。
映画でも音楽でも、全く違う感覚で楽しめる。
瞑想している人は別に禁欲的じゃない、
日常の何気ない事でも楽しめるから結果的に禁欲的に見える、
等の話をしていただき、前より瞑想に対する興味が深まりました。
・悟りなんか無い。今を生きる(気づく)ことの方が大事。
それができることが悟り、等の感動する話も色々あり励まされました。
今回の研修は僕のようなダメな参加者に対して、レベルを合わせた指導、心遣いをしていただきありがとうございました。
もしまた機会があれば参加したいですし(今その気力、精神力はないですが)、
これから自分なりに修行して行き、また疑問や迷いがあれば質問させていただきたいです。