私は物事に集中できない自分がとても嫌でした。
特に、本職であるピアノの演奏中に雑念すること自体、自分のセルフイメージを落としていました。
いつも、今心ここにあらずで、心にたくさんの垢が付着していることには薄々気づきながらも、どうしたらいいのかがわからずにいました。
そんなとき、以前にやっていた瞑想を思い出し実践していたものの、なかなか集中度は高まりませんでした。
瞑想の仕方をきちんと学び直そうと思って何気なくネット検索していたところ、研修所の存在を知りました。
船江さんが書かれた内容を読んでいく内に、スピリチュアルブームで怪しげなセミナーや研修が数多く存在する中、霊的な世界に逃げずに地に足を付けて研究・実践をされている船江さんに学んでみたいと思いました。
しかし、その時休暇がとれるのは3日間しかなかったため時期を見合わせようとも思ったのですが、「自宅にいるときから自分で書籍等を通じてある程度走り出しておくことで、3日間の研修でもできる、最善のことをやりましょう」という励ましのメールが返ってきたときに心の中では決意していました。
また4月から心機一転を図るためには、この時期に受けたいと思い、屋久島に行くことにもなにか特別な意味を感じ、唯一休暇がとれる3日間のリトリートを決意することができました。
屋久島に着いて、研修所までの途中に最初に立ち寄っていただいたウミガメの産卵地の美しい砂浜。
研修に行く前から自宅で実践していたのが少しは役立ったのか、砂浜に立ったときに「今、ここに立っている」という幸福感を得たことは鮮明に覚えています。
砂浜に立ち、さっき出会ったばかりの船江さんと話している内に、いろいろなことを尋ねることで船江さんに負担がかからないようにしなければと思いつつも、今まで疑問に思っていたことや確認したいことが堰を切ったように言葉になりましたが誠実に受け止めてくださったとき、「この人は本物だな」と思いました。(失礼な表現お許しを)
来て良かったなと思った瞬間でした。
船江さんにとっては一研修生に過ぎなかったと思いますが、自分をさらけ出し、また人生で大切なことが深い部分で話せる親友に出会ったように実は思っていたのです。(勝手にすみません)
海中温泉も、あんな体験はなかなかできませんね。海の中に温泉があるのは…。
大自然を感じると共に、そのエネルギーを全身で吸収することができたと思います。
もうここで私は満足していました(笑)。
今から厳しい修行が始まるのかなと思うと複雑な気分でした。
いよいよ研修所に着き、研修が始まったわけですが、きつすぎず、緩すぎずの研修時間を、その都度、私の様子をみて設定してくださったと思います。ありがとうございました。
最初の課題は指先を感じることでした。
行く前に、指先の感覚をできる限り感じるという練習をするようにアドバイスしていただいていたので、自宅で少しやっていたものの、指先を感じることがなかなか難しく、雑念との戦いでもありました。
すぐに限界を感じ、どうしたらいいかわからないときもありましたが、時々声をかけていただいて、疑問にも的確なアドバイスをしていただいたおかげで、粘り強く行うことができました。
集中できないときは、雑念が出たらサティを入れて戻す、ひたすらその連続でしたが、「今ここにいる」ことを感じるということがどういうことかを学ぶ貴重な時間だったと思い出しています。
指先の感覚はまだまだ鈍いのですが、帰宅してピアノに向かうと、鍵盤に触れる意識が今までより高まっていることに気づきました。
静かな場所で過ごしていたこともあったかもしれませんが、ピアノを鳴らす音も研修前とは明らかに異なって聞こえ、驚きました。
しかし、その分、できていないことがはっきりと自分でわかるので、本当の修行はこれかだなと思っています。
食事についてですが、正直に申し上げると、粗食かな、くらいの認識で、特に期待はしていなかったのですが、お膳が運ばれそれを見たとき、なんて美しいんだと思いました。
配置されたご飯、汁、おかず…というか、そのお膳そのものが絵なのです。
帰りに屋久杉を見に連れて行ってくださったときに船江さんが、「Art of Awarenessとは、存在そのものの芸術化のことである。生き方そのものを芸術にまで高めたい」と言われていた理由がわかります。
いつもの旅行なら、食べる前に写真をとっておくところですが、ぐっと我慢してその美しさにラベリングを入れながら、いよいよ箸がつかんだ料理を口に運び、目を閉じて味わった瞬間の美味しさは言葉では表現できませんね。
食物に日頃感謝することなどなかったのですが、素材一つ一つに有り難さを感じました。
もちろん、その感謝に気づかせてくださったのは、調理してくださった船江さんですが。
2日目はボディワークも取り入れていただきました。
素晴らしい有効性を認識できました。
自分一人が身体を動かすのでもなく、完全に船江さんにしてもらうのではなく、身体を作っていく共同作業、音楽で言えばまさにアンサンブル(これは船江さんの表現でしたね)でした。
身体のしっかり動いていない箇所を動かしながら、違和感のある部位に意識を持っていきながら、気がつけば自分の心をも見つめていました。
身体の部位を見るべきことに集中すべきでしたが、時々意識は自分の心に行くこともありました。
その時急に、亡き父親のことを思い出していました。
ボディワークとは関係ないことだったので最後まで口には出せませんでしたが。
瞑想については、精神統一する(サマーディのみを特化して高める)サマタ瞑想が危険な面を持っていることは今までの知識で知ってはいましたが、その根拠もわかり疑問も晴れ、ヴィパッサナー瞑想の安全性、素晴らしさに今後の自分の可能性を重ね合わせたら、これからは迷わずに生きていけそうです。
一人一人を見ながら、マンツーマンでプログラムを組んでくださる研修がどこにあるでしょうか。
たった3日で自己変革を起こすこの研修を一週間受けたらいったいどうなるのか!
研修自体の素晴らしさはもちろんですが、もっとも私が感じたのは船江さんの他者に対する愛情です。利他の思いです。その基礎の上に船江さんがこれまで学ばれた知識が生かされたものがこの研修内容ではないだろうか、と勝手に思っておりますが、本当に充実した時間でした。
研修所が移ってからも、今度は内観からスタートしたい気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。