内観体験記 24歳 大学生

【屋久島に行く前の状況・心境】

今回、内観を受けた理由は、うつと精神科で診断され人生に希望が持てなくなり、どうにかして精神を立て直したいと考えたからです。
私は先日、通っている宮崎県の大学の卒業が決まりましたが、修士論文を書いている途中にストレスが溜まり不眠になりました。
そして精神科で抑うつ状態と診断されましたが、薬と友人のサポートでなんとか卒業できることになりました。
しかし、まだ1週間ほど学校に行かなければならないのに、学校や教授のことを考えるだけで体が動かなくなります。
そして、4月から東京で営業として働くのですが、全く自信が持てなくなりました。

内観は全く知らなかったのですが、精神的にきつく、追い詰められていると感じたので‘座禅’と‘うつ’でインターネット検索をしていたら、気づきの研修所のHPにたどり着き、「ここで動かなきゃ一生このままだ!」という勢いで申し込みました。

その時の私は内観に対して半信半疑でしたし、宗教に対する抵抗感もありました。
霊基さんという方が気難しい方だったらどうしよう・・・とも思って不安だらけでした。
(その後の心境の変化は【最後】に記述しています)

【内観1、2日目】

まず霊基さんから内観についての説明を受けて、「眠くなれば我慢せずに寝ていい」とのことで、思っていたより時間は自由だなと思いました。
そして1日目の昼ごはんを食べてから断食、2日目の昼に洗腸しました。

この2日間はずっと、「来てしまったからにはやるしかないという気持ち」と「不安で帰りたい気持ち」が混在していました。

そして集中のできなさと、空腹で常に帰りたいと考えていました。
気づいたら食事のこと、特に好きなお菓子の雑念を考えていたので、帰ったらいくらでも甘いものを食べていいから、と自分に言い聞かせてモチベーションを保っていました。

また内観の目的を、
「4月から就職のために前向きな精神状態になること」
「精神が不安定になった時の自分流の立て直し方法の発見」
「過去のコンプレックスの払拭」
に設定しました。

【内観3、4日目】

3日目までずっと空腹で体のだるさが強く出てきていましたが、なぜか少しずつ集中できるようになってきていました。
断食中の具なし味噌汁は本当に美味しかったです。
4日目からは少量ではあるが食事を取ることができて身体の調子が整い、ここから集中力が格段に上がってきました。

ここで人生の嘘と盗みについて調べていたのですが、自分のやってきたことへの認識のなさに愕然としました。

自分は、いつ捕まっていてもおかしくなかったという事実が、内観への緊張感を持たせてくれました。

【内観5、6日目】

ここで今回の集中力のピークがきました。
きっかけは父親が子供に対する内観のテープを聞くことで涙が出てきて、その時は「心と身体がひとつになる感覚」を持つことができました。

この時から「過去に起きた事実から意味を見出す、学ぶ感覚」が出てきました。
それは今まで必死に思い返していた雑念の断片がつながって意味を成していく、意味が生まれてくるイメージでした。

また5日目の食事が出てきた時は涙が出てきました。
食事が大きな楽しみになっていたのもありますが、内観で感受性が非常に高くなっていたことも関係していると思います。

6日目に私はうつではなく、「自分で自分を精神的に追い詰める心の癖」があることに気づきました。
ということは、思考の癖さえ変えることができれば予防や対策ができるのでは、と思いました。
これは一番大きな気づきでした。

【内観7、8、9日目】

7日目から集中力が下がってきて雑念が多くなりました。
理由は内観での気づきにより「満足感」「充実感」が湧いてきて(今考えるとこの感覚を持つ時点で内観は深まっていないと思いますが・・・)、内観が終わった後のことを考えるようになりました。

しかし、ここである程度の集中力を保てたのは、モチベーションが下がってきたら意識的に目的観を明確にすること、しかも自分のモチベーションが「上がりやすい」思考方法を知り、繰り返すことに気づいたからでした。
気づいたきっかけは「自分を管理するのは無意識ではなく自分自身である」という言葉を本で見たことでした。

しかし8日目の終盤から9日目になると、目的観を明確にしてもモチベーションが上がらなくなってきました。
睡眠をとるなどでなんとか集中しながら、最後の母に対しての内観を終了しました。

最後に9日間の内観記録をとって研修は終了しました。

霊基さんにお土産としてタンカンと本をいただき、帰りの車の中で日常での内観の生かし方を聞かせていただきました。

【9日間の集中内観を終えて】

日常に戻ると、「爽快感溢れる自分と」「来る前と変わらないことにイラッとしている自分」が共存していました。

最近の私を追い込んでいた‘24年間の心の癖’を感じながら、毎日の積み重ねで脳の回路を修正しています。

また、様々な方々の愛につつまれて生かしてもらって頂いてことに気づき、人生に強い充実感が持てています。

これだけでも行って良かったと本当に思います。

帰ってから両替の為にコンビニに寄ったのですが、最初に考えていたような甘いもののやけ食いはしませんでした。
食欲はあるものの、「思考が欲望に勝っている感覚」を経験したからだと思います。

帰り際に霊基さんが「帰ってからの日常が本番だから、がんばってね」と言われていたことが強く印象に残っています。
当たり前のことですが、本当に大切なことだと思いまして、帰りのフェリーの中でずっと日常の中で今回の研修をどう生かすが考えていました。
今は日常の細切れの時間で内観する癖をつけるために「起床後、就寝前の10分内観」「風呂に入りながらの20分内観」「抵抗のある人に会う前の5分内観」「感情が動いたときの1分内観」「休日の1時間内観」の5つをやっています。

そして日常内観で、「原因は相手にはない、全ての要素は自分にある(思考の癖、偏見、解釈の仕方など)」と考えるようにすることで、事実を肯定的に見るように努力しています。

宮崎での日常の「社会内の生活」と、9日間の屋久島での「社会外の生活」を比べて、社会で生活するとは、非常に多くの情報に触れること(本人の意思に関係なく)が分かりました。

如何に今まで外の情報に無意識に触れていたかが分かり、今は意識的に外の情報を断つことができるようになりました。

【最後に】

9日間の集中内観によって、最初に設定した目的だけではなく、24年間の問題は全て解決できることに気づきました。

来る前は内観に対して半信半疑で、霊基さんが気難しい人だったらどうしよう… という不安(失礼ですが本気で思っていました。笑)がありましたが、霊基さんは本当に気さくな方で僕の相談にもたくさん乗っていただきました。

また、霊基さんがマンツーマンでサポートして下さるので、港からの送迎にはじまって、体調に合わせた食事や睡眠時間、面接時間の調整など柔軟に対応していただくことができ、本当に快適に内観研修を過ごすことができました。
私は就職する4月に備えて生活リズムを正すお手伝いをしていただくなど、霊基さんには9日間ずっと私が集中できるにはどうすれば、と考えて頂いていたように思います。

どなたでも内観研修の効果は大きいと思いますが、私のような時間を確保しやすい大学生は行っておいて間違いはないと思います。
必ず今までにない爽快な感覚・感情が味わえるはずです。

内観を知ったからこそ今の私がある。
そう思わせてくれる9日間でした。
霊基さん、本当にありがとうございました。

(2011年3月5日~2011年3月13日)