末世の比丘、
形沙門に似て、心に慚愧無く、
身に法衣を着けて、思い俗塵に染む。
口に経典を誦して、意に貪欲を憶い、
昼は名利に耽り、夜は愛着に酔う。
外持戒を表して、内密犯を為す。
常に世路を営んで、永く出離を忘ず。
偏に妄想を執して、既に正智を擲つ。
一つには、道心堅固にして須く見性を要すべし。
二つには、話頭を疑着して、生鉄を咬むが如くせよ。
三つには、長坐蒲団脇席に着くること莫れ。
四つには、仏祖の語を看て、常に自ら慚愧せよ。
五つには、戒体清浄にして、身心を穢すこと莫れ。
六つには、威儀寂浄にして、暴乱を恣にすること莫れ。
七つには、少語低声、戯笑を好むこと莫れ。
八つには、人の信ずる無しと雖も、人の謗りを受くること莫れ。
九つには、常に苕箒を携えて、堂舎の塵を掃え。
十には、道行倦むこと無うして、飽くまで飲食すること莫れ。
生死事大、光陰惜しむべし。
無常迅速、時人を待たず。
人身受け難し、今已に受く。
仏法聞き難し、今已に聞く。
此の身今生に向って度せずんば、更に何れの処に向ってか此の身を度せん。
……
末世の比丘(びく)、
形(かたち)沙門(しゃもん)に似て、心に慚愧(ざんき)なく、
身に法衣を著(つ)けて思い俗塵(ぞくじん)に染(そ)む。
口に経典を誦(じゅ)して、意(こころ)に貪欲(とんよく)を憶(おも)い、
昼は名利(みょうり)に耽(ふけ)り、夜は愛著(あいじゃく)に酔う、
外(ほか)持戒(じかい)を表して、内(うち)密犯(みっぽん)を為(な)す。
常に世路(せろ)を営んで、永く出離を忘(ぼう)ず。
偏(ひとえ)に妄想(もうぞう)を執(しゅう)して既に正智(しょうち)を擲(なげう)つ。
一つには 道心堅固(どうしんけんご)にして、須(すべから)く見性(けんしょう)を要(よう)すべし。
二つには 話頭(わとう)を疑着(ぎじゃく)して
生鉄(さんてつ)を噛(か)むが如くせよ
三つには 長座布団(ちょうざぶとん)、脇席(わきせき)につくることなかれ。
四つには 佛祖の語を看(み)て、常に自ら慚愧(ざんき)せよ。
五つには 戒体清浄(かいたいしょうじょう)にして、心身を穢(けが)すこと莫(なか)れ。
六つには 威儀寂静(いぎじゃくじょう)にして、暴乱を恣(ほしいまま)にすること莫(なか)れ。
七つには 小語低声(しょうごていせい)、戯笑(けしょう)を好むこと莫(なか)れ。
八つには 人の信ずる無しと雖(いえど)も、人の謗(そし)りを受けること莫(なか)れ。
九つには 常に苕箒(じょうしゅう→ほうき)を携えて堂舎の塵(ちり)を払え。
十には 道行、倦(う)むこと無うして飽(あく)まで飲食(おんじき)すること莫(なか)れ。
生死事大(しょうじじだい)、光陰惜しむべし。
無常迅速、時人を待たず。
人身受け難し、今已(すで)に受く。
仏法聞き難し、今已に聞く。
此の身今生(こんじょう)に向って度(ど)せずんば、更に何(いず)れの処に向ってか此の身を度せん。