私の身体的(カラダの)履歴書

研修コース主宰者である私自身の身体的な履歴書、これまでの身体面での歩みについて書いていきます。

私の関心は、元々、坐禅や瞑想にありました。

23歳のとき、禅宗の臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)と云う、一週間、横にならず寝ないで坐禅をし続ける厳しい修行を初めて経験したときのことです。

中盤頃から、自分の身体に強い違和感を感じ始めました。

坐中、背骨左側沿いに強烈な不快感・違和感・痛みのようなものが現れ、それがつきまとい、何をしても無くならない状態になりました。

そこから徐々に、坐っているときだけではなく、日常生活でも、横になって寝ているときですら、そのベタっと張り付く強烈な違和感、大きな虫が這い回っているかのような不快感は消えなくなり、そこからの数年間、その問題に苦しめられることになります。

さらに、不眠、冷え、慢性的な消化器系の不調など、他の様々な症状にも悩まされるようになっていきます。

それは、もっとずっと後になって理解したことですが、小学校高学年のときに起こしてしまった事故による右目の怪我が原因の、身体の極端な認識のズレに起因するものでした。 (自分では、それを「身体イメージ障害」と呼んでいます)

その問題の解決を求め、色々な治療法に救いを求めますが、どうにもならない状態は続きます。

27歳からの数年間、京都のダンマバーヌ(ゴエンカ師の系統のヴィパッサナーセンター)に集中的に通うようになります。

それと同時に、フェルデンクライス・メソッドのATM(Awareness Through Movement – 動きを通しての気づき)を知ります。

最終的に、この二つが自分のなかでうまく組み合わさったことにより、「何をしても、どんどん痛み・違和感がひどくなり、状態が悪化していく(足掻けば足掻くほど、はまり込んでいく)」と云う、絶望的な光の見えない状況からの脱出口が示されることとなります。

同時期に、アレクサンダー・テクニックにも出会っています。
通算で二十回程度のレッスンを受けました。当時の私の生活環境上、継続的に通うことができず、その理論と技法には、とても惹かれつつも、自身で独習できるATM+ボディスキャンと云う組み合わせを選ぶことになります。

しかし、アレクサンダー・テクニックに対する関心や親近感は、いまも変わらなく持ち続けております。

人に頼らず、自身の気づきによって、自分の陥っている深刻な状態から脱出できる、と云うのは、当時の私にとって大きな福音であり、希望でもありました。

その後、コンティニュアム・ムーブメントやホロトロピック・ブレスワークと云う、自働運動(活元)的なボディワークとも出会います。

非常に大きな影響と助けを受けましたが、それらは外部に明確な基準を持たないため、かなり強烈な自分で認識できない歪み・癖(自身の内部の狂った基準・ものさし)を持っている私の場合、それだけでは自分の外に出ることはできず、補助的なものに留まりました。

そうしているうちに、四十歳を過ぎ、「刀禅(とうぜん)」と云う、武術にルーツを持つボディワークに出会います。

その方法論と実際の身体の調整効果に驚き、非常に感心し、そこから数年間、熱中して取り組むこととなります。

当時、私は、一年前にやったギックリ腰の後遺症で、腰部の極度の脆さ・不安定さを抱えて生活していました(いわゆる、腰に爆弾を抱えている状態でした)が、その問題は刀禅錬功への取り組みによって解消します。

その後、胴体力、肥田式強健術と云う、同じく武術的な要素を持つ体系に惹かれていくこととなります。

実際に、この二つのボディワークに出会ったのは、もっとずっと若い頃なのですが、自分にとっての重要性を再発見したのは四十代後半になってからのことでした。

胴体力に関しては、幸運な成り行きから、三年間ほど、そのコンセプトを集中して学ぶ機会を持つことができ、それによって認識を新たにしました。

肥田式強健術については、二十六歳のとき、佐々木了雲先生のところに数日間お世話になり、限られた時間のなかで「中心鍛冶法」を中心に、最低限のものをご教示いただき、最後にステンレス製の特製鉄棒を授かり、帰りました。本当に、とても良くしていただき、そのご恩は忘れられません。

しかし、習い戻ってきてから一週間で、腰の調子を一気に悪く(不安定に)してしまい、その恐怖から、その後二十年間、強健術は封印することとなります。

思うに、肥田式強健術は、それ自体が、歪んだ体を整える整体的な部分よりも、ある段階以上の身体の整いを既に実現している人間のための最後の微妙な調整と云う面を強く持っており、当時の歪みまくった身体の私には、どう考えても準備不足で早過ぎたのだと今は理解しております。

これらは(非常に簡略化して言うならば)、日本発祥の、高い独自性をもった体幹トレーニングであるのだと思います。

具体的実践において、それぞれ決して似ている訳ではなく、対極的な錬功法・修練法を多く持ちます。

現在の私は、「これら理論・技法(方法論)の作る、対立し拮抗する三角形の真ん中の異質的両極が切り結ばれた、その先に、私にとって最終的な身体的真実が存在しているのではないか」との予感をもって、探求・実践に取り組んでいます。

そして、その最終目的地は、そもそも私の修行のはじめにあった臨済宗系の丹田禅にも非常に近しいものであるように感じています。

自分のような、元々劣った身体的資質の人間に、この道が、どこまで進めるのかは分かりません。

しかし、ここまで来たからには、自分に残された時間を使って、見られるところまでの景色を見てから死んでいきたい― そう思わせるだけのものが、この身体的探求には存在します。

2025年9月現在、様々な変転を経て、秀徹、飛龍会、スタジオビートの三つの場所、三人の指導者の元、学習を続けております。

私がこれまで学んできた、そして現在学びつつある技法

刀禅

刀禅とは、小用茂夫(こようしげお)先生が開発されつつある、日本の古流剣術・中国武術をルーツとしたボディワークです。

それら伝統武術のエッセンスを現代的なかたちで再構築し、身体性に関わるあらゆる分野に適用可能な方法論として提示されています。

胴体力

飛龍会

伊藤式胴体トレーニング。
故・伊藤昇(いとうのぼる)先生の確立された身体開発法。

肥田式強健術

肥田春充(ひだはるみち)師が創始された心身鍛錬体系。

肥田式強健術 – wikipedia
聖中心道肥田式強健術

秀徹

秀徹

藤原将志先生の指導しておられるグループ。
非常に優れた方法論のもと稽古会が行われております。

フェルデンクライス・メソッド

フェルデンクライス・メソッド入門

アレクサンダー・テクニーク

アレクサンダー・テクニークは、スタート時点では、本での独習が極めて困難である、と云う特徴を持っています。
よって、まずは自分に合う良い先生を探すことが近道だと思います。

ヴィパッサナー瞑想

日本ヴィパッサナー協会

「脱-身体的条件づけの技法」という面から見たとき、S.N.ゴエンカ氏系統のヴィパッサナーテクニック(ボディスキャン)は、非常に強烈で、効果的な技法です。

『呼吸による癒し―実践ヴィパッサナー瞑想』ラリー・ローゼンバーグ

『実践ブッダの瞑想法―はじめてでもよく分かるヴィパッサナー瞑想入門(DVDブック)』

自働運動系のボディワーク

コンティニュアム・ムーブメント

『自然運動と癒し―コエックスの実践』 トニー・クリスプ

ダイナミック瞑想、クンダリーニ瞑想など、Oshoの瞑想技法も、ココロとカラダ(瞑想とボディワーク)を繋ぐものとして有効性を持つものです。

ホロトロピック・ブレスワーク も、また、そのように考えることが可能な技法だと理解しております。