始まりは世界の側にではなく、あなたの側にあるのです。
あなたがあなた自身のなかの動揺と悲惨に、あなた自身のなかに― したがって世界のなかに― 存在する混乱に気づいているなら、世界の問題を解決することができるでしょう。
政治的な活動は比較的に易しい、人類のための食物の分配を組織化することは比較的に易しいでしょう。
人に衣服を着せ、彼に住むところを与える― 彼に食べ物を与える必要があります。
私たちは皆、そのことを知っています。
あらゆる学童がそれを知っています。
しかし、結果はどうでしょうか。
それは単なる本の知識でしかありません。
なぜなら少年は条件づけられているからです。
彼が彼自身の条件づけから自身を解放することができないが故に、それは行動なしの、単なる本の知識のままなのです。
そういう訳で、私たちは自身の条件づけの全てを打ち破らなければならないのです。
私はあなた方に、それが唯一の解決法であると断言いたします。
最も高い重要性を持つものは、いま在る“あなた”―今、あなたの感じること、考えること、行なうことなのです。
……
あなたが世界であり、あなたともう一人の人間との関係が社会なので、あなたのなかの革命的な変化なしには何の希望もありません。
どうやってあなた自身を理解するかが最も重要です。
「社会を変えよ」というのは、私たちの謳い文句の一つ、安易な主張です― あたかも世界が私たち自身からそんなに異なっているかのように、世界について何かしなければ、と言うことは。
私たちが現代の社会のなかの、この惨事、この戦争、この狂った無秩序を作り出してきたのです。
私たちが問題に気づいていないかぎり、問題を扱うことはできません。
そして、あなたはあなた自身の外部でそれに気づくことはできません。
これを作り出してきたのは、あなただからです。
したがって、あなたは他の人々にではなく、あなた自身に気づいていなくてはなりません。
混乱はあなたの心の内部で明確にされなければなりません。
……
ところで、あなたの心のなかや周囲にある悲惨や混乱と、あなた自身との関係はどうなっているのでしょうか。
確かに、この混乱や悲惨はひとりでに発生したものではありません。
それは、あなた」と私の相互関係によって生み出されたものです。
つまり、あなたの心のなかにあるものが、外部や世界へ投影されているのです。
ありのままのあなた自身、あなたの思考や感情、それにあなたが日常生活でやっていることなどが、そのまま外部に投影され、それが世界になっているのです。
……
世界に平和をもたらし、すべての戦争を阻止するには、あなたや私、個人のなかに革命が起こらなければなりません。
このような内面的な革命の伴わない経済的な革命は無意味です。
……
あなたはその社会の一部であり、そして自分をそれに適合させようとしている。
が、その社会は利欲心の所産であり、時折の愛のきらめきを伴う、羨望、恐怖、貪欲、所有の追求の結果なのである。
で、もしあなたが聡明で恐れず、無欲でいたければ、そのような社会に自分を適応させることができるでしょうか。
そう、あなたは新しい社会を作り上げなければならないのです。
……
我々の意識の中身は全ての人間に共通するものです。
世界のあらゆる場所に住んでいる人間は、肉体的にだけでなく、内部的にも苦しんでいます。
確かなことがなく、恐怖感を持ち、混乱し、心配事があって、深い安泰感など何もありません。
ですから我々の意識は全ての人にとって共通なのです。
したがって、我々は個人ではありません。
このことをよく考えてください。
我々は個人であり、別々の魂を持ち、自分自身のために努力するようにと、宗教的にも学問的にも訓練され教育されてきました。
しかしこれは錯覚なのです。
我々は、結果を目指して苦闘する、別々の心理的な内容を持った別々の実体ではなく、その各々は、事実上自分たち以外の残りの人間なのです。
自由から始めなければなりません。
自由があるところに愛があります。
この自由と愛が、協力すべきときと協力すべきでないときとを教えてくれるでしょう。
これは選択の行為ではありません。
選択は迷いの結果だからです。
愛と自由は英知です。
ですから私たちの関心は、組織と自由の分離ではなく、一切の分離なしにこの世界で生きることができるかどうかです。
自由と愛を否定するものは分離であって組織ではありません。
組織が分裂するとき、それが戦争へと導くのです。
信念がどんな形をとろうと、理想がどんなに気高く影響力を持つものであろうと、それらは分離を育みます。
組織宗教は、国籍は、権力集団と同じように分離の原因なのです。
ですから、個人であれ集団であれ、分離させるもの、人間と人間との間に分離をもたらすものに関心を持ちなさい。
家族、教会、国がこのような分離をもたらします。
重要なことは、分け隔てようとする思考の働きです。
思考自体が常に分け隔てるものであり、そのために観念やイデオロギーに基づく行為はことごとく分離をもたらすのです。
思考は、偏見、意見、判断を培います。
内側で分裂している人間はこの分裂からの自由を求めます。
しかし、それを見つけることができないので、様々な分裂を統合しようとしますが、
もちろんこれは不可能です。
二つの偏見を統合することはできません。