テタニー(過呼吸による痺れ)について

テタニー、過換気症候群などついての資料を研修者の方が送ってくださいましたので、ここに置いておきます。

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医学大辞典や神経の本では「tetany テタニー」の日本語訳がないのですが、マヒ(麻痺)やケイレン(痙攣)とも、ちょっと違う感じです。

家庭医学事典の過換気症候群の説明では、「しびれ、けいれん、手足がしびれてつっぱり、動かせなくなります」と書いてありました。

広辞苑の「ひきつる、ひきつれる」は1、筋がつれて痛む。2、やけどなどの傷跡の皮膚が縮れる。3、痙攣を起こす。かたくこわばる。と、ありました。

私の感覚では「しびれたような感じ」とか、「ひきつる、ひきつれる」あたりが語感として近いかな~と思っています。

☆資料が多くなってしまいましたが、ざっと流して見て下さい。

過換気症候群  カカンキショウコウグン

【英】hyperventilation syndrome
【仏】syndrome d’hyperventilation
同義語:過剰換気症候群,過呼吸症候群,過換気テタニー
hyperventilation tetany

心因性以外には明らかな原因がなく,発作的に呼吸困難を訴えて過換気となり,動脈血中CO2分圧の著明な低下と呼吸性アルカローシスrespiratory alkalosis(→アルカローシス)をきたす.過換気発作は安静時にみられることが多い.また運動と関連していると考えられる場合にも,運動中ではなく,運動終了後にみられることが多い.通常は何らかの精神的,肉体的ストレスを契機として激しい呼吸困難発作をきたし,患者は深く速く,努力性の呼吸運動を行う.脳血流量減少による脳組織のアノキシア(酸素欠乏症*)に起因する失神発作,CaやKなどの電解質変動によるテタニー症状,脱力感などがみられ,時に胸痛,心悸亢進がみられ,臨床的に狭心症*と鑑別困難なことがある.治療としては,なるべく大きなビニール袋などをふくらませておき,それを口に当てて再呼吸させるとよい.間欠期には,患者に病気の性質を十分に理解させ,不安感を取るようにする.
アルカリ血症  アルカリケッショウ

【英】alkalemia
【独】Alkalia¨mie, Alkalia¨usie
【仏】alkalia¨usie
【ラ】alkalemie

正常の血液pHは7.35~7.43の範囲に保たれている.血液pHが7.43以上の状態をアルカリ血症,7.35以下の状態を酸血症*acidemiaという.ヒトが生存可能のpH上限は約7.8,下限は約7.0と考えられている.血液pHはヘンダーソン・ハッセルバルヒの式*Henderson‐Hasselbalch equationで規定され重炭酸‐重炭酸イオンの比で決定される.アルカリ血症は主として代謝性アルカローシス*,呼吸性アルカローシスrespiratory alkalosis(→アルカローシス)でみられるが,代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償が過剰に働いた場合にも起こる.
アルカローシス

【英】alkalosis
【独】Alkalose
【仏】alcalose

正常人の体液のpHを7.35~7.45に維持する緩衝系に対して,pHを上昇させる病的過程をアルカローシスと呼ぶ.これに対してpHが正常域を上まわった状態をアルカリ血症*alkalemiaと呼ぶ.アルカローシスの成因として,呼吸性および代謝性の過程が知られており,それぞれ呼吸性アルカローシスrespiratory alkalosisおよび代謝性アルカローシスmetabolic alkalosisと呼ぶ.呼吸性アルカローシスは生体で産生されるCO2量に比して,肺胞より呼出されるCO2量が過剰となった状態であり,成因としては不安,頭部外傷,脳腫瘍など呼吸中枢の刺激によるもの,肺塞栓,肺炎,うっ血性心不全など呼吸器の刺激によるものが主体となる.症状としては四肢知覚異常,神経筋の被刺激性亢進,テタニー,耳鳴りなどがある.意識障害を伴うこともある.動脈血ではpHの上昇,PaCO2の低下,HCO3-の低下がある.治療的にはCO2ガスの吸入や呼吸系の死腔をふやすことなどが行われる.代謝性アルカローシスは,血中重炭酸イオンの上昇を伴っており,嘔吐のごとく胃腸管より,または原発性アルドステロン症のごとく腎からH+が失われたとき,またカリウム欠乏症にあって細胞内カリウムが細胞外へ移動する場合に発症する.また,乳酸,クエン酸あるいは酢酸の投与やHCO3-の投与も代謝性アルカローシスをきたす.血中でイオン化カルシウムは低下し,筋痙攣やテタニーをきたし,また低クロル血症*や低カリウム血症*が認められる.体液量の減少を伴う例では食塩の投与が有効である.原発性アルドステロン症ではスピロノラクトン*投与または腺腫摘出を行う.
テタニー

【英】tetany
【独】Tatanie
【仏】te´tanie

おもに四肢遠位筋に強い拘縮を起こして,手足の屈曲位を呈するのが特徴的である(助産婦様手obstetrician’s hand).重症の場合,喉頭筋,呼吸筋さらに全身の筋に及ぶ.テタニー軸症状Achsensymptome der Tetanie)として,Chvostek徴候(外耳道前方で,顔面神経の走行上を叩くと口輪筋,顔面筋が短時間拘縮する.→クヴォステク現象),Trousseau徴候(上腕をマンシェットで収縮期圧以上で圧迫したときに,手根筋などの拘縮が起こる;→トルソー現象)がある.副甲状腺機能低下症*によって起こるが,ほかに偽性副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症*,過換気症候群*,原発性アルドステロン症などでも起こる.多くの場合,低カルシウム血症*,低マグネシウム血症*あるいはアルカローシス*を伴うが,二価の陽イオンであるカルシウムイオンの細胞膜外での減少により膜貫通電場の減少が生じ,脱分極と同じ状態となり,神経線維が興奮しやすくなっているために起こると考えられている.

 

テタニー軸症状  テタニージクショウジョウ

【独】Achsensymptome der Tetanie

テタニーの際に陽性となり,とくに潜在的なテタニーの誘発診断上,重要な徴候を総括してテタニー軸症状と呼ぶことがある. 1)クヴォステクChvostek徴候(現象)は外耳道前方で顔面神経の走行上をハンマーで叩いたさいに口輪筋や眼輪筋などの短時間の攣縮をきたす. 2)Trousseau徴候は上腕をマンシェットで3分間収縮期圧以上で圧
迫した際手根筋や小手筋群などの攣縮をきたす. 3)エルプErb徴候(現象)は感応電流刺激によって筋攣縮を誘発する際に,その興奮性の増している状態をいう.〈1997〉
クヴォステク現象  クヴォステクゲンショウ

【英】Chvostek phenomenon
【独】Chvostek‐Pha¨nomen
【仏】phe´nome`ne de Chvostek
同義語:クヴォステク・ワイス徴候Chvostek‐Weiss sign

耳朶と口角を結ぶ線の中点で,顔面神経の側頭顔面枝を叩打すると眼輪筋と頬筋が収縮する現象をいう.これはテタニーによる神経筋の異常興奮を示す病的徴候と考えられた.しかしその後,正常と見なされる人の約10%でこの現象が認められるという報告もある.したがってテタニーの絶対的な診断根拠とはならない(Franz Chvostekはオーストリアの外科医,1835‐1884;Nathan Weissはオーストリアの医師,1851‐1883).
トルソー現象(徴候)
トルソーゲンショウ

【英】Trousseau’s sign
【独】Trousseau‐Pha¨nomen
【仏】phe´nome`ne de Trousseau

クヴォステク現象*Chvostek phenomenonとともにテタニー*の際にみられる重要な徴候の一つで,上腕部に血圧計のマンシェットを巻き最大血圧よりやや低めの圧で緊縛した際に異常知覚を伴って手が持続的筋収縮により特有な形を呈するものをいう.すなわち手指は伸展し,母指は内転,他の4指は中手指関節で屈曲して産科医の手つきあるいは助産婦手位と形容される形をとる.運動神経の興奮性が阻血により増強されるために起こるものである(Armand Trousseauはフランスの医師,1801‐1867).
しびれ  シビレ

【英】dysesthesia, paresthesia, numbness
【独】Paresthesie
【仏】dysesthe´sie, paresthe´sie

異常感覚や感覚鈍麻,ときに運動障害を意味する場合に使われる日常語で,本来の医学用語ではない.しかし,異常感覚を意味する場合に用いることが多く,dysesthesiaの場合とparesthesiaの場合とがある.外的刺激が加えられないのに自覚する異常感覚をdysesthesiaといい,触覚や痛覚などの外的刺激によって異なる感覚が生ずる錯感覚をparesthesiaというが,逆に定義していることもある.
運動麻痺  ウンドウマヒ

【英】motor paralysis
【独】motorische La¨hmung
【仏】paralysie motrice

運動中枢から筋肉に至るまでの運動神経の障害によって随意運動ができない状態をいう.麻痺の程度により完全麻痺(paralysis)と不全麻痺(paresis)に分け,その性質により痙性麻痺*と弛緩性麻痺*に分ける.大脳から脊髄前角細胞に至る上位運動ニューロンの障害によるものを中枢性麻痺(核上麻痺)と称し,筋トーヌスは亢進,錐体路徴候(深部反射亢進,病的反射出現)を示すが,筋萎縮は伴わない.麻痺が続けば不動性筋萎縮はくる.脊髄前角細胞から筋肉に至る下位ニューロンの障害によるものを末梢性麻痺(核下麻痺)と称し,麻痺は弛緩性(必ずしも低緊張ではない)で,深部反射は減弱・消失し,筋萎縮を伴う.運動麻痺は部位により, 1)単麻痺*(一肢のみの麻痺,運動領野もしくは下位ニューロンの障害), 2)片麻痺*(一側上下肢の麻痺,大脳とくに内包から脊髄に至る障害,このうち脳幹部障害では一側の片麻痺と他側の脳神経麻痺を伴い,これを交代性片麻痺という), 3)対麻痺*(両下肢の麻痺,主に脊髄障害), 4)四肢麻痺tetraplegia(両側大脳から末梢神経に至る障害,主に脳幹・頚髄障害,多発神経炎などによる)に分けられる.
痙攣  ケイレン

【英】convulsion
【独】Krampf
【仏】convulsion

全身または身体の一部の筋群の不随意かつ発作性の収縮をいう.痙攣には強直性(強直性痙攣*)または緊張性tonicのものと間代性clonicのものとがある.前者では全身の筋が同時に収縮し,とくに伸
筋の張力が優位となるため四肢を伸展し,頚部や背部を後屈する.間代性痙攣*は拮抗筋が交互に収縮して起こる.一般に大脳に起因する痙攣の場合は,意識障害*と脳波異常をきたすことが多い.脊髄に起因する痙攣として代表的なのは,多発性硬化症*の際の有痛性強直性痙攣であり,末梢神経に起因する痙攣としては,顔面痙攣*facialspasmが代表的である.痙攣はヒステリー*でもみられる.その他,通常,高頻度に痙攣を起こす疾患として,てんかん*の大発作,ミオクローヌス*発作,乳児痙攣,レンノックス症候群*などがあり,日本脳炎*,破傷風*などの感染症,低血糖症*,低カルシウム血症*などの代謝異常,ラムゼイ・ハント症候群や結節性硬化症などの変性疾患,シアン化合物や臭化メチルなどの中毒がある.
痙攣性疾患  ケイレンセイシッカン

【英】convulsive disorders
【独】krampfhafte Krankheiten

痙攣を伴う疾患の総称.急性非反復性のものと慢性反復性のものとに分けられる.前者は,熱性痙攣*,脳脊髄膜炎(髄膜炎*),頭部外傷*,脳浮腫*,急性脳症*,頭蓋内出血*,破傷風*などにより生じ,後者には,てんかん*,およびてんかんを症候とする代謝性疾患,遺伝性変性疾患,脳腫瘍*,その他の器質性疾患,およびヒステリー発作がある.原因診断をつけることが大切となる.急性非反復性のものでは,病歴,診察所見,髄液所見などから,慢性反復性のものでは,病歴,診察所見,脳波検査,代謝異常の検査,頭部CT検査などから原因となるものをつきとめていく.発作の起こり方,意識障害合併の有無,時間,発作後の状況をはっきりと把握しておくことが診断・治療上に大切である.痙攣を起こす年齢は乳児期がもっとも多く,しだいに減少する.一般での頻度は両者をあわせて,6~7%と考えられている.当然,治療は原因によって異なる.てんかんの場合は,抗てんかん薬*の長期服用が必要である.

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他の本で見ると、テタニーは痙攣(けいれん)が主症状で…とありました。
また、別の本では、「テタニー痙攣」と書いてありました。

「spasm(痙攣)は広い意味で用いられ、いろいろな筋の収縮を意味している。運動を伴い、反復するときは間代性けいれん、持続するときは 緊張(強直)性けいれんという。」

ということは、テタニーはしびれ (dysesthesia 異常感覚)を伴う緊張性の痙攣の一種…という感じかな?