刀禅とは、小用茂夫先生(1950~)が開発されつつある、日本の古流剣術・中国武術をルーツとしたボディワークです。
それら伝統武術のエッセンスを現代的なかたちで再構築し、身体性に関わるあらゆる分野に適用可能な方法論として提示されております。
根を養うボディワーク
樹を見るとき、私たちは通常、地面から上の部分― 枝や葉、そして花や実を見ます。
しかし、それを支えている膨大な部分― 根を見ることはしません。
刀禅は、まず、根を養い、幹を育てることから始めます。
自らの存在の根と、そこから立ち上がる明確で強靭な軸(幹)を打ち建てること。
その根の深さこそが、身体の厚みであり、存在の深みであり、枝葉の表現には至りつくことのできない本物の動き・働き・現れが、そこに存在します。
直立した生物たる人類のためのボディワーク
ヒト(人間)とは、特殊な立ち位置にいる生き物で、背骨(脊椎)を重力の方向に合わせ、縦にして暮らすことが常態化した動物など、地上には、そう居ません。

直立した状態で、身体を重力に適合させ(重力をプラスに使いこなし)、動き、歩き、生活すること―
それは、背骨を横から縦にすると云う(進化の成り行き上、起こった)ボディプランの大掛かりな変更を経験したヒトと云う種特有の未解決の問題・進化史上の課題であり、それに対する解の一つとして、刀禅の方法論が存在しています。

グラウンディングからセンタリングへ
グラウンディング、あるいはセンタリングと云う言葉は、身体に関わる領域のみならず、心理的な世界に於いても、よく聞かれます。
「頭でっかち」で「地に足が着いていない」、あるいは「軸(中心)がない」と言われれば、それは単に身体の状態を指すだけでなく、その人の(意識を含めた)存在全体を現すものとして理解されます。
それを言葉通り、まず身体の次元において実現すること。
わが重心(質量、位置エネルギー)を、狂いなく、地球の中心まで届けること。
それは、井戸掘り(ボーリング作業)に似て、自らの中心(軸)を鉛直線沿いに正しく配列することができたとき、力の尽きせぬ源泉からの強烈なサポート(吹き上がり)があり、それは翻って上昇し、天を支え、身を天地に開き破ります。
そこには(真に重力との適合を果たした末の)、反-重力的な自由があります。
Deep Movement – 深い動き、身体の深いところから発する運動
それは、通常の、身体末端の可動性や加速性の大きさ、動きの分節化の組み合わせによる、「どう、早く、大きく動くか(見せるか)」「どう外に表し、表現するか」に主眼をおいた「表出(現す)」系の運動とは逆向きの技法体系です。
そこには、動きを内向/拮抗させ、(奥に/下に)秘めることにより、更なる深みを目指す、沈潜する(現さない)方向性が存在し、そのなかに、(瞑想などとの親和性を持つ)人知れぬ味わいが生まれてきます。
根源的な整体法・養生法・健康法として
身体に負担をかけない、無理のない身体の使い方の重視は、刀禅の開発者である小用先生ご自身が、決して健康体ではなかったこと、多くの深刻な身体的問題を抱えたなかで、この稽古体系を編み出されてきたことに起因します。
つまり、刀禅は、そもそもが小用先生ご自身のためのリハビリプログラムであり、それであるが故に、それを学ぶ私たちの身体修正プログラム、弱者・病者救済の方法論になり得るのです。
それが坐禅・瞑想などの世界であれ、あるいは武術・スポーツの世界であれ、道に志す多くの人が、その途上において、身体を痛め・損ない、道半ばにして諦め、去っていく現実があります。
それを何とかしたい、健康なままで思いを成就できる道筋を見出したい、との意志によって刀禅は開発されています。
研修所主宰者である私(船江霊基)自身、なぜこれほどまでに刀禅の方法論に心震えたのかと言えば、自らの積年の問題である身体イメージ障害(BID)(小用先生の言葉では、身体の統合失調症)の最も具体的な治療法として、それを理解したからでした。
それは、単なる闘争の術としての武術の範囲を越え、ボディワーク・健康法・舞踊・スポーツ・芸道・瞑想など、隣接するあらゆる分野を飲み込みながら身体に浸透していきます。
このような方にお薦めできます
* 身体に関する慢性化した問題(痛み、違和感、不調、ケガの後遺症など)を抱えておられる方。
* 身体表現・武術・治療・ヒーリングなど、身体性に関わる世界に身を置いておられる方。
* 坐禅・瞑想・マインドフルネスなどに取り組んでおられる方。
アウェアネス・リトリートセンター(気づきの研修所) 船江 霊基(ふなえ れいき) MAIL: awarenessism@gmail.com TEL: 070-4028-2755 URL: http://awarenessism.jp