桃水和尚

こういう心境に至れば生きてることるは楽だろうなぁ、と思いつつも、なかなか。
是の如き生涯、是の如く寛(ひろ)し
かようななりわい、かようにゆたか
・弊衣破椀(へいえ はわん)、他(ま)た閑閑(かんかん)
ボロ衣に破れ椀、のどかなもの
・飢餐渇飲(きさんかついん)、只だ吾れ識(し)るのみ
飢えれば食い渇けば飲む、わしのなりわい
・世上(せじょう)の是非、総(そう)に干(あず)からず
世間が何と言おうと、知ったことか
面山瑞方原著 「乞食桃水逸話選」(能仁晃道訳編) から
* 桃水雲渓 (1612-1683) 曹洞宗。
本山総持寺に瑞世したれっきとした和尚だが、寺院生活の煩瑣や華美を嫌い、蓑をまとい乞食隊裡に隠れ、あるいは草鞋を編んで糊口をしのぎ、最期は京都洛北で酢を売って暮らした。そのため、世に「乞食桃水」と呼ばれる。