哲学本来の方法は、解決不可能な問題を、その解決不可能のままに、明白に理解し、次いで余分のものを混じえず、それらの問題をじっと飽くことなく、何年間も、どんな望みも抱かず、ただ待望しつつ注視し続けることにある。
超越的なものへの移行が果たされるのは、人間の諸能力―知性、意志、人間愛などが、ある限界に打ちあたり、その人が境界線上にたたずんで、その向こうへは一歩も進めず、しかもそこから引き返そうともせずに、自分が何を望んでいるのかもわからないで、緊張のうちに、ただ待ち望んでいる時である。
これこそは、極度の屈辱の状態である。屈辱の状態を受け入れることのできぬ人には、ついに不可能な状態である。