道歌、幾つか

その道に入らんと思う心こそ 我が身ながらの師匠なりけり

きせるさえ 心のやにを掃除せず 雁首ばかり磨く世の中

手や足の汚れは常に洗えども 心の垢を洗う人なし

朝夕に顔と手足を洗うなら 心のあかもすすぐなり

立ち向かう人の心は鏡なり おのが心を写しても見ん

わが心 かがみにうつるものならば さこそ醜き姿なるらめ

私(わたくし)を離れてみれば心ほど 明るき鏡 世になかりけり

知るとのみ 思いながらに何よりも 知られぬものは己なりけり

井戸掘りて 今一尺で出る水を 掘らずに出ずという人ぞ多き

道という言葉に迷うことなかれ 朝夕おのがなす業と知れ