ココロとカラダ 不安と不調

kikulogの記事、「大阪大学・東日本大震災以後の科学と社会を考える研究会」の、
「#92. 技術開発者 September 21, 2011 @15:42:01」の投稿から

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1315415814#CID1316522562

以下、引用
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>子供の体の健康も大事ですけど、心の健康も大事だと思うんですよね。

子供に限らず、皆さん全員のメンタルヘルス環境は大事に考えて欲しいんですね。チェルノブイリの後におきた様々な疾病の原因をメンタルなものに求めると必ずといって良いほど「低線量被曝の問題をメンタルの問題にすり替える原発推進論者の陰謀」みたいに言われる風潮がある訳ですが、メンタルヘルスと疾病の関係を知る者にとっては、低線量被曝の害よりもはるかに大きな「継続的ストレス」に起因する害を心配しないではいられない訳です。

例えば、チェルノブイリの石棺つくりに動員され被曝した労働者の健康状態の追跡調査の結果などでは、例えば、うつ病の発症率とか自殺率などが他の地区に比べて2倍から3倍高い訳です。でもって、発症した人の多くに共通する妄想として「自分の身体に回復不可能な損害が生じている」という部分があったりするわけですね。

因果関係が分かりやすい精神障害の発症率を例に出しましたが、継続的ストレス下におかれると、高血圧などの循環器系の障害や胃潰瘍などの消化器系の疾病の発症も増加しますし、実際にチェルノブイリの労働者では増加したとう報告があります。心の健康というのは実の所身体の健康と大きくつながっているものではあるのです。

こういった、「絶え間なく不安になる情報にさらされる」といったメンタルヘルス環境の悪化に起因すると考える方がはるかに納得のいく病気の発症率の増加すら、世の中には「それはメンタルによる発症ではない、低線量被曝のせいだ」という論を唱える人もいます(うつ病の増加を「脳が放射線で傷害されたせいだ」と言っている人も知っています)。そういう人たちがその論を唱える事で、「絶え間なく不安になる情報にさらされる」といったメンタルヘルス環境の悪化はさらに進み、これらの疾病の発症率はさらに増加することさえ心配される訳です(一種のマッチポンプ型の悪循環が起きる訳です。ベラルーシでは実際にこの循環が起きたと考えています)。そういう論の人たちは、チエルノブイリの労働者を対象にメンタルカウンセリングを行う事で、うつ病などの発症率が低下したのを、どう説明するのか知りたいと思ったりもします。

上の方で長崎大学の山下教授の話なども出ていますが、「この程度の放射線では何も起きませんよ」というのは、皆さんのメンタル面を考えたときには、或る意味、とても理にかなった発言だとも言えるのです。山下教授は、チェルノブイリの労働者や住民の追跡健康調査結果なども熟知されていますからね。放射線によるわずか確率の害よりも、皆さんのメンタル面からの疾病というはるかに大きいリスクが予想されるなら、そちらに手当てするのが、私などは「理にかなう」と考える訳ですが、多くの人が「それは理にかなわない」と、「絶え間なく不安になる情報にさらされる」といったメンタルヘルス環境の悪化の方を選択されているのが現状だろうと思います。