天国にもマクドナルドはある。
天国にも茶髪の天使達が居て、
その愛らしい姿のまま、
ハンバーガーを売っている。
天国はあまりにもありふれていて、
あなたはそれを信じることができない。
あなたは目を閉じて天国を想像してみる。
そして想像の粋を凝らして、
最も美しく最も高貴で最も幸せに満ちた世界を
思い描く。
しかし現実はあなたの想像をはるかに凌駕している。
あなたが想像する最上級の天国も
美しい現実の前では色あせた惨めな産物でしかない。
人は自分の目で神を見たならば
その存在を信じようという。
だが、この言い方は正しくない。
人は神の目で
この世を見たときに
その存在を確信するようになるのだ。
あなたは
涙なしにこの世を見ることはできないだろう。
あなたは
激しく嗚咽することだろう。
あなたは
言葉を失うだろう。
この世は尋常な世界ではない。
何故この世は存在するのか
何故むしろ無ではなかったのか。
しかし、それは実在する。
あなたは
畏敬の念をもたずに他の生命を見ることはできなくなる。
そして自分の姿さえ、
畏敬の念をもたずに見ることはできなくなる。
あなたは尋常な存在ではない。
何故あなたは存在するのか、
何故むしろ無ではなかったのか、
しかし、それは実在する。
人生の究極の謎、
何故それは実在するのか、
あなたはその答えを知っている。
それがあまりにもありふれているために
あなたはどうしてもそれを信じることができない。
そして言葉の粋を尽くして
その答えを表現しようとする。
しかし、現実はあなたの頭脳を遥かに凌駕している。
人は謎に正しく答えることが出来たなら
その答えを信じようという。
しかし、この言い方は正しくない。
人は正しく問うことが出来たときに
その答えを確信するのだ。
あなたは問うまでもなく、
その答えを知っている。
あなたは涙なしに
それを語ることはできない。
あなたは激しく嗚咽する。
そして、あなたは言葉を失う。
天国にもマクドナルドはある。
天国にも茶髪の天使達が居て、
その愛らしい姿のまま、
ハンバーガーを売っている。
天国はあまりにもありふれていて、
誰もがそれを信じることができない。
あなたは目を開けて天国を見る。
最も美しく最も高貴で最も幸せに満ちた世界を。
芦田良貴詩集