ヴィパッサナー瞑想とフォーカシング

身体感覚と、その背後にあるこびりついた感情を認識するため、
フォーカシングの技法を使うこともできます。
思考や音・視覚などの知覚に対しての気づきは既にある程度確立しているのだが、身体感覚を取るのが苦手な場合には、役立つかも知れません。
『やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方』 アン・ワイザー コーネル
『心のメッセ-ジを聴く (講談社現代新書)』 池見 陽
リスト:体験過程理論とフォーカシング
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筋肉の緊張と感情
ケン・ウィルバーは、身体の張り、凝り、痛みをブロックと呼び、それを取ることが心と身体の分離を統一する第一歩だと述べている。
坐ってだんだんと呼吸を落としていき、身体の各部位を頭から爪先までを、意識で見ていくと、張り、凝り、痛みを感ずる部位があるこれをブロックと呼ぶ。リラックス型の冥想をする人ならば、よくご存じだと思う。セラピーの基本でもある。
ケン・ウィルバーは、敵意を抑圧(我慢)すると顎、のど、首、肩、上腕部の筋肉を締めつけることになるという。更に、次のような可能性があるとする。
1.理由のない恐怖にとらわれた時は、肩の部分が固くなっている。
2.目の周りに緊張があれば、泣きたい欲求を抑え込んでいる。
3.こめかみに凝ったような痛みがあれば、叫んだり怒鳴ったり、笑ったりするのを押さえようとして、無意識に奥歯を噛みしめているのかもしれない。
4.肩と首の凝りは抑え込まれた怒りや敵意
5.横隔膜の緊張は、気ままな感覚、注意を押さえるために、呼吸を慢性的に制限ないし、押さえている。
6.下腹部と骨盤の凝りは、性的な自覚をすべて断ち切っている。
7.脚の凝り、固さ、脱力感は、根気強さ、安定感、全般的パランスの欠如。
こうしたブロックを作りあげるには、少なくとも15年はかかっているとも言う。
さてリラックスのやり方である。
ブロックは随意筋で起きているが、無意識に緊張・収縮を繰り返してきた結果上記のような凝りになっていることから、ケン・ウィルバーは、意識的に同じ筋肉を「ゆっくりと」「緊張・収縮」させることをまず勧める。やりながら『何かを我慢しようとしていたこと』を思い出すのがコツ。次にゆっくりとその筋肉をゆるめる。そして浮かび上がる感情を感じとっていく。
そして意識的な筋肉の緊張・収縮をやり始めると、これまで我慢してきた感情が表面に現れてくるものだそうだ。これは、真面目に一生懸命やっている人に、みんなで「がんばれよ」、「よくやっているじゃないか」などと励ましまくると、当人が泣きだすのと同じ原理だそうだ。当人が意図的に抑えようとしている感情(筋肉)を刺激すると、原因となっている感情が表出するということ。
典型的な慢性のブロックがある場合は、毎日15分で1か月は続けないと効果が出ないとも言っている。(底本・無境界/ケン・ウィルバー/平河出版社)
アヴァンギャルド精神世界から
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解剖学では、胸には心臓と肺があって、お腹には胃腸や肝臓があることを教えてくれます。
でもそれだけではありません。
胸には不安や心配があり、お腹には怒りや緊張が内在していることをみんな知っています。
身体はただの「物体や形」ではありません。
目に見えないものが幾重にも重なり合って構成されているのが、私たちの身体(神体)なのです。
(ある方の文章から)