マンホールの下の空洞

日常感覚は死の隠蔽の上にはたらく。
マンホールの上を歩く足は足下に空洞のあるのを忘れている。
知っていてもそのために立ち竦むことはない。

日常感覚も死の空洞の上に鉄板を張って、
落ち込むことのないものとして生きている。

『この世 この生』 上田三四二