終わらない梯子登り

立身出世という奴は、この壊れると分っている土台の上で、梯子登りをやることなんだ。高く登れば登るほど危険なんだ。

そうと知りながら、周囲はもちろん彼自身からもこの梯子登りを強いられているんだ。

『川端康成』筑摩書房、P46

「いま、此の一つ」- 個物との出会い

私が物を買うのは、一生に「今この一個」をのみ買っているという行為の連続に過ぎないのである。

だから横に買っているのではなく、いつも縦に買っているのだとでもいおうか。

柳宗悦『新編 民藝四十年』ちくま学芸文庫、P578

人との付き合い

近づけば近づくほど、相手の色々な面がみえるでしょう。
歴史上の偉人を尊敬するのは簡単だけれど、知り合ってしまうと話が違う。
教師として尊敬できる人でも、友人になると難しい。
恋人になるとなおさらで、もし結婚なんてしようものならどうしようもない。

河野裕『昨日星を探した言い訳』P336